【北海道】くじら汁(西海岸にしん漁場の食) クジラは「えびす」。にしんを浜に追い込む縁起のよい動物

2020/06/30

全国のくじら伝統食

くじら汁は、年越しや正月料理として欠かせないもので、大鍋に大量に煮込み、三が日の食べものとしていました。この地域の漁村では、クジラは「えびす」とよばれ、にしんを浜に追い込む縁起のよい動物で、祭りにエビス山車を出すところも多いのです。江戸時代ごろの松前、蝦夷地には「寄りクジラ」と言われるクジラがあがり、塩蔵して保存食となっていました。このようなことから、くじらを食べることは縁起がよいとされ、大物を食べて、その年の大漁を願う意味から、正月料理になったようです。
道南地方はもとより東西の沿岸漁村では、古くからくじら汁を正月に食べているが、所によっては、くじら汁とくじらの煮しめの2種類を作る場合もある。焼尻島では、塩クジラ(脂肪の塩漬け)、豆腐、コンニャク、ワラビ、ニンジンなどを煮込んだものをくじらの煮しめと呼び、小さな薄切りの塩クジラと豆腐、ネギを入れたすまし汁をくじら汁と呼んで区別しています。
出典:日本の食生活全集(農文協)