【京都府】水菜の煮物(京都近郊の食) 水菜とクジラのコロを煮た京都の冬のご馳走

2020/07/10

全国のくじら伝統食

少し昔の京都近郊の食の話です。水菜はすぐき(京漬物に使われるカブの一種)蒔き(9月上旬~中旬)と同じころに蒔きます。稲を刈った跡などに植え替えておいて、冬の間の煮物や、正月、鏡開きの日のすまし汁に使います。この時期の水菜は寒さに当たって柔らかく、甘みもあっておいしいのです。くじらのコロを水につけて早めに戻し、サイコロ状に切って食べやすいようにしておきます。水菜は一寸五分ほどにザクザクと切っておきます。七輪に火を入れ、鍋を乗せて、その中に水菜とコロを入れ、醤油で味付けして煮ます。みんなで鍋を囲みクツクツと炊けてくると、各々箸を入れて食べます。寒い時にはもってこいのご馳走であり、水菜とコロが出会い物と合ってとてもおいしい。クジラの脂が残っており、こってりしていて、体も温まる家族中に喜ばれる冬の食べものです。

出典:『日本の食生活全集』(農文協)